準1級の語彙問題について

2018年度第一回英検の問題および解答が英検のホームページにアップされています。今回は準1級の語彙問題を中心に書いてみたいと思います。さて、リーディング問題全問中、大問1の語彙問題の比率は、2級 20 / 38で約53%、準1級では25 / 40で63%となっています。全設問中6割以上を語彙問題が占めているわけです。準1級の場合、トータルスコアで8割(正答率で72~3%程度)が一次合格の目安ですので、他の2領域(LとW)のスコアがどうあれ(弱いならばなおのこと)、Rのみで40問中31~32問は確保しておきたいところです。また、大問1と大問2以下の各設問との間には一問あたりの点数配分に差がありませんので、単純計算では25問中20問以上の正解が必要ということになります。ですから、ここで10問も間違えているようではお話になりません。さらに、90分の制限時間のうち大問2,3の読解と大問4のライティングにかける時間を差し引くと、この大問1に使えるのはせいぜい15分、設問1つあたり30~40秒といったところです。したがってここに20分も30分もかけてしまうと、解答の見返しどころか、最後まで解くことすらできなくなってしまいます。一方、大問1を一問30秒程度で解答できる力のある生徒にとっては、配点ウエイトが高いことに加え、大問2以下の読解問題と難所のライティングに取り組む時間的余裕が生まれることも手伝って、結果としてトータルスコアをかさ上げできる大きなアドバンテージとなります。

なお、大問1各設問の選択肢に並んでいる単語はかなり難しいですが、英文そのものは、この級を受験する資格がある生徒にとっては平易な部類に入ります。設問文の中に難解な語彙がほとんど登場しないのも、純粋に「級相応の語彙知識を問う」という問題作成側の意図でしょう。つまり、受験者が「設問の英文を一読して情景なり状況をイメージできる、その上でどのような意味の語彙が空欄に入るべきか推測できるレベル」の力を有していることを大前提として、問題が設計されているわけです(と思っています)。したがって、設問の英文の解釈に手間取っているようでは、厳しいようですが、何度受験しても結果は同じでしょう。今回、私の教室からも高1~高3生の数名が準1級に挑戦しましたが、やはり口を揃えて「語彙問題が難しかった」と言います。しかし、合否は結果待ちであるものの、少なくとも語彙問題の2行程度の英文の解釈に苦戦した生徒はいないようでした。

いつも書いていることですが、英語力は語彙力が決定します。そして語彙力は知識です。少し言葉を足すと、その知識には1つの単語について複数の意味を知っていることにとどまらず、同義語・反意語、派生形、イディオム、 in- ,  mal-,  dis- などの接頭辞 や -ly,  -ableなどの接尾辞などの知識と、それらの知識を駆使して意味を類推する力も含まれます。たとえば、今回の大問1(3)の選択肢に登場する diminish と hinder はよく見かける単語ですので、知っている生徒も多いでしょう。ですからどれを選択するかで最終的に迷うのは、 repeal と dispense になるかと思います。repeal は大学レベルの単語ですが、dispense はターゲット1900などに「分配する」「調合する」という意味で掲載されていますので、この意味を知っている生徒であれば、repeal を知らなくても正解できます。しかしながら、 この単語については、dispense 単体でなく dispense with~「~なしですます」というイディオムとしてのみ覚えている生徒も多いことと思います。この dipense  with から もとの dispense の意味を類推するのは非常に困難ですが、cash dispenser を知っていればどうでしょうか?「調合する」まではたどり着けなくても、「出す」に近い意味くらいはイメージできるはずです(dispense の語源はラテン語の「計算して分ける」)。また、形容詞形の dispensable を「不要な、なくてもすませる」だけでなく「分配できる」という意味まで知っていればすぐに答えは出ます。つまり repeal や dispense の意味を知らなくても、正解を導き出せるわけです。

語彙問題だけでなく読解問題を解く際も、このような類推や連想から語彙の意味を探り当てる力は実に重要です。単純そうに見える単語でも、単語集の見出し語だけの知識では太刀打ちできないケースが、大学入試の難問にもしばしば見受けられるからです。ですから、一つの単語を辞書で調べる際にも、下の方に掲載されている意味や例文まで目を通す、時には音節で分解したり語源にまで遡ってみるなど、無条件に暗記するだけでなくその語の「理解を深める」学習姿勢が、結果的に「応用の効く語彙知識」の蓄積となっていくものです。