辞書引き指導について

英語経験の少ない新入会生(特に小学生)には、本格的な読み書きの学習に入る前のレディネス作り(下準備)の一環として、ほとんど例外なく「辞書引き」の練習をさせています。辞書はカタカナ表記つきのものを、持っていない場合には購入していただいて使用しています。

練習用には、以下のようなプリントを100枚程度作成しています。(ピンボケはご容赦ください。)

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どのプリントにも、中学レベルを超えない単語をランダムに掲載しています。ランダムといっても配列には結構頭を使いましたが、これは、プリントごとの難易度をできるだけ揃えて、1枚の完成時間に大きな差が生じないようにするためです。

1枚16題、一回に2枚の計32題で、手順は至ってシンプルです。

①名前、日付、開始時刻を記入。

②単語の意味と、読み方を口に出しながらカタカナで記入していく。その際、アクセントの ’ を、読み方のカタカナの上に入れる。アクセントの位置は辞書のカタカナに太字で表記されていますので、悩む必要はありません。

③1枚完成したら、終了時刻とかかった時間を記入。

④私の前で音読。(スペルだけを見て読めるようになることを、最初から意識付けしていきます。)

⑤2枚目も同じ手順で学習。

※生徒によっては2枚完成してからまとめて音読する場合もあります。

⑥宿題として、当日辞書引きした単語のスペルを、読み方・意味とともに2回~3回ノートに書き取り。この時も、「必ず声に出して読みながら書くこと」と「スペルミスをしないように正確に写すこと」を毎回伝えています。

1枚の目標タイムは試行錯誤の結果、10分に設定していますので、生徒はコンスタントにそのタイムをクリアできようになるまで、この辞書引き学習を継続することになります。(タイムクリア後も、語彙獲得のために継続している生徒もいます。)学年や学習経験にもよりますが、最初は1枚20~30分かかることも珍しくありません。たとえば 上の見本の 326. plane を調べる場合、まず最初のp 、次に l (エル) がアルファベットの並びのどのあたりに位置するか、パッとイメージできる生徒とそうでない生徒では、1問の完成時間に大きな差が出ます。これが結果的に1枚の完成時間の相当な差となって現れるわけです。アルファベットを順に言える生徒は多いですが、並びが瞬時に頭に浮かぶ生徒は少ないのではないかと思います。また、似たような単語、たとえば different と difficult を間違えて書いてしまったような場合、音読の場面で指摘されると、訂正の時間もオンされますから、生徒は速く仕上げるためには丁寧さ、言い換えれば、1文字1文字に対する注意力も必要なことを理解します。上記⑥の宿題の書き取りでも、同じ単語のスペルを同じように間違って書いてくるケースもありますので、細かくチェックしないといけません。

数回の学習でコンスタントに10分以内、中には8分台でパーフェクトに仕上げる生徒も出てきますが、一方ではなかなかスピードがついてこない生徒も当然います。この違いがどこにあるのか、理由は個々にあるのですが、生徒を観察していますと共通点として見えてくるのは、「速い生徒は字も丁寧で間違いが少ない。一方、遅い生徒は、調べた単語そのものが間違っていたり、写し間違いも多い」ことです。辞書引きの学習は単語のテストではなく、辞書に書いてあることの「筆写」ですから、速く仕上げるために必要なことは、該当の単語が掲載されている箇所を素早く見つけることと、「速く正確に書き写す」こと以外、何もありません。したがって、かかる時間の差は、1語1語、1文字1文字に対する集中力、注意力の差によるところが大きいと感じています。(該当する単語の掲載ページにおおまかに見当をつけられるようになるまでには、それほど多くの回数を要しません。)私は、読みにおいても書きにおいても、「速さを追求すると丁寧さが犠牲になる、速さと丁寧さは両立しない」というのは、間違いであると思っていますが、この「辞書引き指導」においても、速さと丁寧さ(=正確さ)はきちんと両立できるもの、目指すべきものとの認識を、生徒観察を通じてますます深めている次第です。

「辞書引き学習(指導)」によって、後々読み書きを学習する上で不可欠となる「1語1語、1文字1文字に注意する」態度と、「速く正確に」を目指す意識を、その前段階である程度育てることが可能となる上、学習の成果や成長度合を所要時間で確認することができます。そのため辞書引きの記録は、生徒が次のステップに移るタイミングを測る上で、大変重宝しています。「辞書を速く正確に引ける」能力は、英語の、特に読み書きの学習能力との相関性が非常に高いと考えているからです。