TEAPのライティングについて

上智、中央、青学、関学などの各有名私大に続いて、2017年度からは早稲田大学の文化構想学部と文学部でもTEAP型入試の導入が決定しています。7月に実施された今年度第一回試験には、私の教室からも高3生1名が挑戦しました。TEAPの受験要項やメリット等は、ホームページに詳しく記載されていますので割愛しますが、ここでは、実際の試験内容や難易度などについて、教室生徒の結果をふまえながら見ていきたいと思います。今回はW(ライティング)が中心です。

まず、教室から受験した生徒の結果スコアですが、4技能受験で、R(リーディング):75 L(リスニング):65 W(ライティング):82 S(スピーキング):73 T(トータル):295/400(74%)でした。この生徒には、夏のトライアルを試験日程に合わせて前倒し実施して、スコアアップを図りました。RとLでは常に高得点できている生徒であること、試験までの時間があまりないことから、相当手ごわいと思われるWとSのみに特化して演習・指導を重ねましたが、その結果はご覧の通りです。Lのスコアが、出題スタイルに十分慣れないまま臨んだこともあって、相対的に低くなってしまったのは残念でしたが、力を入れて取り組んだWとSで期待値を上回ってくれたことは幸いでした。ちなみにこのスコアは、上述早稲田の各学部(各技能65以上、総点280以上)、上智の外国語学部英語学科(各70以上、総点300以上)以外のすべての学部・学科で出願が可能となるレベルです。今回受験した生徒の普段の力とスコアから、TEAPの試験レベルそのものは、英検の1級と準1級の中間あたり、と見積もってよいかと思います。(この生徒は1月に準1級合格しています。)難関大の入試英語試験が免除されるのですから、これくらいのレベルは当たり前と言えば当たり前ですが。

さて、TEAPは英検と違い歴史も浅く、また過去問が一切公表されませんので、自分で学習する場合にも、過去問を数多く解く、という英検のような対策ができません。上の生徒の場合、W対策は旺文社の予想問題集をじっくり1問ずつ、細かく分析しながら指導を行いました。英検との大きな違いは、TEAPのWはエッセイ(自由英作文)ではなく、英語要約である点です。(TEAPホームページのサンプル問題をご覧ください。)問題構成はTASK A、TASK Bの2問、これを70分で解かなければなりません。語数の制約はそれぞれ70語、200語となっていますので、時間配分としては、見直し・校正まで含めて20分、50分といったところでしょう。

TASK Aについては、問題の英文そのものが比較的平易ですので、そこそこ読解力のある生徒なら、内容把握という点ではそれほど困らないはずです。ところが、外してはいけないポイント(キーセンテンス)を正確に見抜き、それを正しい文法・語法を使って言い換え(パラフレーズ)、構成や文と文とのつながりを意識して、指定語数でまとめ上げる作業は、かなり難易度の高い課題です。中でも、文中の語彙を他の語彙で言い換えるパラフレーズは、英語要約の基本ですが、それができるための十分な語彙のストックを有していることが必要なことは言うまでもありません。また、一つの語彙を複数の他の語彙で表現できる力は、英作文でも当然必要となります。今まで再三述べてきましたように、結局最後に(まで)モノを言うのは語彙力であると、あらためて痛感する次第です。ちなみにあるレベル以上の高校生には、語彙を調べる際、英和辞典ではなく類義語辞典を使うよう、推奨しています。

続いてTASK Bですが、これは問題文の長さもさることながら、グラフデータの読み取りが加わる上、指定語数も200語前後となりますので、TASK Aにあまり手間取っていると、時間がショートしてしまいます。ですから、上で述べましたように、目安としては文法や語彙の細かいチェックも含めて、このTASK Bには50分(全体の見直し時間を差し引くと45分くらい)は確保しておきたいところです。また、TASK Bから取り掛かるのも、一つの手でしょう。こちらも、問題英文は平易な部類に入るかと思いますが、TASK A同様、「英語で要約」という課題そのものが、ごく一部の難関大学で出題される程度の馴染みのないものである上、何よりも、200語という結構なボリュームの英文を書かなければなりませんから、かなりハードルの高い問題と言えます。要約文の大きな構成としては、グラフデータの解釈をふまえた現状と課題の記述(Introduction)→解決策の提案1(Body1)→解決策の提案2(Body2)→結論(Conclusion)という感じです。この構成をベースに、全体に一貫性を持たせ、文と文とのつながり、文法・語法、語彙に注意しながら、しかもポイントを外さずまとめるわけです。もちろん、この手の問題に対して慣れることは必要ですが、より大事なことはやはり、書けるための語彙知識、表現方法のバリエーションを、日頃から英文を書く練習の中で増やしていくことです。語彙・表現方法の豊富なストックは、英作文、英語要約問わず、ライティングの大きな武器となります。

余談ですが、英作文上達の方法として「英語で日記を書く」というものがあります。これは、タイムリーに添削してもらうことが可能な環境があれば有効ですが、そういう環境にない生徒にとっては、まず継続が難しく、結果として力もつきにくい点で、あまり現実的ではないと思っています。解答書が存在しませんので、独学が難しいからです。

教科を越えた、自分で考える態度や問題意識、論理的思考力までが、「英語力」の定義に含まれつつある現況を見ますと、大学入試を含めたこれからの英語試験は、従来の意味での英語力を測るツールにとどまらず、記述による表現を中心とした幅広い能力測定ツールとしての機能をますます持つようになるでしょう。鉛筆を転がしてもとりあえずは解答できるマーク式選択問題では、今後求められる英語力の測定にはやはり不十分であることの裏返しでもあります。ただ、では生徒にそれらの力が育つためのバックアップなり指導を、「誰が、どこで、どのように」行う(行える)のか、が大きな課題として残ります。

※次回はスピーキングについて書きたいと思います。