英検のライティングについて

今回からの英検の大きな変更点のひとつであるライティング(英作文)について、少し解説してみたいと思います。

分かりやすくするために、1級~2級のライティング問題について、内容、従来との変更点などを以下にまとめました。

1級            

内容

与えられたトピックについての自由記述。今回は「世界平和は達成可能か?」 (指示、トピックとも英文)

変更点

1.語数が200語前後から200~240語程度に増加

2.英文に含めるべき観点(POINTS)の提示が消滅し、完全自由英作文となった

3.配点(満点)が28/113 から850/2250 となり、スコア全体に対する比率が9%程度上昇

準1級

内容

与えられたトピックについての自由記述。今回は「学校卒業後に親と同居する若者の数は将来増えると思うか?」 (指示、トピックとも英文)

変更点

1.e-mail への返信文作成から、1級と同様の意見論述スタイルに大きく変更となった。

2.語数が100語前後から120語~150語程度に増加

3.英文に含めるべき観点(POINTS)の提示。(4つのうち2つを使用)

4.配点(満点)が14/99 から750/2250 となり、スコア全体に対する比率が20%程度上昇

2級

内容

1.1級、準1級と同様、与えられたトピックについての自由記述。今回は「職場でのカジュアルな服装を認める会社の数は将来増えると思うか?」 (指示は日本語、トピックは英文)

2.語数は80~100語前後

3.英文に含める観点(POINTS)の提示。(3つ/使用するしないは自由)

4.R+Lで75点満点がR+L+W1950、うち650はライティングスコアとなった。(0%→33%)

新しい準1級ライティングは、内容・構成・語彙・文法の4つの評価項目が各4点の計16点満点です。つまりそれぞれのポイントが4段階(0点を含めると5段階)で評価され、その素点の合計がスコア(750点満点)に換算されています。ちなみに、今回教室から受験した3名のうち、ライティングの最高スコアは613(正答率81%)でした。ただ、3名それぞれのスコアと正答率を比較しましても、正答数(率)からスコアへの換算ロジックがわかりません。しかも、同じ正答率であっても回次によってスコアが異なるとのことですので、英検協会の言うとおり、自己採点によって合否を予測することができなくなりました。さらに、一次結果発表から二次試験までの期間に変更はありませんから、よほど出来栄えに自信のある場合を除き、合格とわかってから二次の準備を開始する(であろう)多くの受験生にとっては、従来より準備期間が10日程度短縮されることになります。この点について英検側の狙いがよくわかりませんが、実際問題として、二次試験のハードルの高さを考え合わせますと、指導する私にとっても、より厳しい試験になったとの印象を持っています。

話題を実際の問題内容に転じますと、解答例の英文は、準1級は153語となっており、指定語数120~150語の上限付近です。前年3回目の解答例は指定100語に対して121語でした。同じく、1級→指定200~240語に対して241語(前年3回目は200語に対して214語)、2級→80~100語に対して98語となっています。このことから、2級以上のライティング問題を解く際には、語数の上限付近でまとめることを念頭に置くとよいと思います。逆に、下限あたりで終わってしまうと、内容・構成で減点される可能性が大だと考えられます(こう書いたからといって、内容の乏しい語数合わせになってしまうのはダメですが)。

準1級についてもう少し詳しく言えば、英文に含めるべきポイントが4つのうち2つ、という条件がありますので、大まかな構成としては、Introduction 20語、main body 50語×2、conclusion 30語の合計150語、くらいを目途に、全体に一貫性があるか、パラグラフ同士のつながりはどうか、語彙や時制は正しいか、などに注意しながら書けるよう、練習を積めばよいと思います。練習の素材としては、予想問題が販売されていますが、量をこなしたい人には、私の教室でも使用している前年度までの1級の過去問が最適です。なお、当たり前ではありますが、英作文は減点されなければよいわけですから、減点される隙をつくらないことが大事です。つまり、小難しい表現を避け、できるだけシンプルな英文、平易な英文を心がけるということです。このあたりにも留意しながら、完成度の高い英文が書けるよう、指導していきたいと思います。

冒頭の内容・変更点からもお分かりのように、今回初登場した2級から1級まで、ライティング問題のスタイルに一貫性があります。トピックの難易度、語数やヒント(POINTS)の有無などに違いはあるものの、いずれもが環境、教育、生活、経済といった世の中の事象や人間の営みについての幅広い知識と問題意識(自分はどう考えるのか)、それらを自分自身の言葉(英文)で的確に表現できるかどうかが試されます。このように、教科学習から得た知識の活用度合が重視される傾向は、大学入試改革の中で検討が進んでいる、記述式新テストの導入や、科目数簡素化(合教科、総合型)の動きとも合致しています。幅広い分野のトピックに対して持論を自在に展開できるための道具として、英語をどこまで使えるかの運用能力が問われるわけです。大学入試の新方式は、まだ未知数な部分が多く残されていますが、少なくとも英検を含む英語の試験での論述問題の比率は、今後ますます高まるであろう、ということだけは言えそうです。

※文中で用いた数値に間違いがあるかもしれませんが、その場合はどうぞご容赦ください。