高校生のリスニング指導 その2

 

前回ご紹介しました「ナレーションリスニング」「会話リスニング」に加え、リテンション(記憶保持能力)向上と、さらなる語彙獲得を目的として「ディクテーション」を行っています。

 

ディクテーションの効果につきましては、さまざまな英語関連のサイトでも紹介されていますが、一方では難度のきわめて高い学習課題でもあります。1分程度のニュース音声でも、一回聞いただけでは、頭に残っている英文の一部か、単語のいくつかを断片的に書き留めるのが精一杯です。また書き取ることに集中しすぎると、今度は内容全体が把握できない、ということにもなってしまいます。教室では、まず全文を通して聞かせ、ざっと内容の把握をさせた上で、全体をいくつかのセンテンスに小分けし、その一つ一つを書き取らせるようにしています。1文の長さに応じて2回~3回、適当な間隔をおいて聞かせますが、生徒は、1語1語聞き取ろうとするのではなく、聞こえてきた音声(英文)を丸ごと覚える必要が生じます。あやふやなところは文脈から想像力を働かせなければなりません。そうしなければ、次のセンテンスに移るまでに書き切ることができないからです。聞こえてきた英文を頭に焼付け、それを一気に書き切るわけですから、リテンションとともに、スペリングの正確さやライティングのスピードも当然必要となります。このようにして、とにかく全文を最後まで書き取ったら、もう一度ゆっくりめのスピードで全文を通して聞かせます。その際に、今度は書き取れ(聞き取れ)なかった箇所を集中して聞き、英文の完成度をできるだけ高めます。ここまで終えた上で、全訳付きのスクリプトを渡します。生徒は語彙やスペリング、和訳を確認して終了します。このディクテーションで使用する素材も、時事英語が中心ですので、sanctions against ~(~に対する制裁措置)など、テレビのニュースで頻繁に出てくる語彙にも毎回触れることになります。

上記の手順である程度上達が認められた生徒から順に、聞かせる回数を減らす、1回に聞かせるセンテンスを長くする、次のセンテンスに移るまでの間隔を短くするなど、少しずつハードルを上げていく予定にしています。リテンションはリスニングだけでなく、難関大の長文問題や準1級のリーディング問題にも不可欠な能力ですので、今後この力をさらに向上させるために、会話トレーニングで使われている「リプロダクション」の手法なども研究していきたいと考えています。